Ⅰ’ll be your hero

声に出して言葉にしなくても

すでに伝わっているものがある


この世のどんな速度よりも速く

胸を突き動かす強さで


ただキミが立っているだけで

それが起きていた

どれほどやってきたか

どれほどの気持ちをそこにのせていたか


汗ばむ額に張りついた

後れ毛のほつれも気にせず

日焼けして少したくましくなった横顔

走り出し

止まる

重なり

うねる

呼吸はひとつ

乱れずに空を切る放物線は

重ねてきた日々の軌跡

倒れてもなお

まっすぐに立ち続ける

細い背中に

育み続けた時間が重なる


小さく頼りなかったキミたちが

最高学年になっていた


「大きくなったね」

背後にかすんでいるのは

酸っぱい苦労の連続だった毎日

繰り返された果てしない

育てるための疲労は

すべてに意味をもち

十分すぎる日々だったと

一瞬にして物語る


ただキミが立っているだけで

それが起きていた

母さんたちが本当に見ていたのは

技術の高さじゃなくて

演技の見栄えじゃなくて

そこに至るまでの遥かな道のり


言葉よりも速く

動きよりも強く

鮮やかにこの胸を震わす

かけがえのない

道のり


   小学校最後の運動会 

組体操~ I’ll be your hero~

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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