2018.02.10 00:09小さな願い明日もいい日でありますようにおとうが 怒りませんようにおかあが 怒りませんように大姉ちゃんが いらいらしませんように中姉ちゃんが ぎゃーぎゃー泣きませんようにわたしが 友だちとトラブルを起こしませんようにおやすみなさいまだ少し冷たい布団の中で母はその祈りを 驚きをもって聞いた小さな子どものおやすみの願いが両親だけでなく姉たちだけでもなく幼い自分の至らなさにも向けられていたことに
2017.09.15 01:00自閉症の果帆へ今、どんな景色を見ているの?今、どんな音を聞いているの?今、何を感じているの?泣き叫ぶあなたの横で痛みに気づいてやれない口惜しさは怒りにすり替わる違うリズムを刻むいのちの鼓動を聞きながら思うよ母さんのところに来てよかったのかな…すべてをわかってあげられない苦しみを悲しみを代わってあげられないもどかしさを人は愛と呼ぶのでしょうか愛おしいと切ないは少し似ている
2017.09.13 02:41秋空の下で周囲のどんな些細なこともわたしの今よりはずっとマシな気がした 周囲のあらゆる願い事もわたしの願い事よりはちゃんと叶っていくような気がした 何をしていても何もできていないようわたしの心からわたしが遠ざかっていく「それは無理だから」と呪文のように唱えて別の何かを探し始める 膨らむ家計としぼむ心いつまでたってもにらめっこ うずまく胸の内 それでも…米をと...
2017.08.28 04:31閉じた心に心が閉じている見ている景色も輪郭はぼやけ何を聞かれても上手く応えられない濃霧のように もたつく心を誰かに聞いてもらうにも何から話せばよいか分からず子どもの声も夫の言葉も浅い夢のように素通りするお気に入りの曲も場所も心躍らず濃すぎる青空が追い討ちをかける世の中のすべてが灰色に思える時があるそんな時…閉じた心を責めずにいたい閉じた心を他ならぬわたしだけは見守ってやりたい誰にも分かり得ぬわたしの孤独その...
2017.08.15 01:12祈り蓋を閉めた1月19日がどんな日だったか…もう、思い出せないけど、小さな祈りを込めた。再び蓋を開けるときに、平凡な日々と笑顔。・・・おばあちゃんもきっと込めた。今よりもっと、生きることに保証がなかった時代に季節を超えて出来上がっていくものはひとすじの希望だったと思う。味噌を仕込むことと、平和を願うことはおんなじ。・・・2017.8.15
2017.08.01 20:24喜びの大きさ夏休み前、一足先に海外に発った友だちを思って三女が言う。「まさくん、残念だね。今日のおたのしみ給食、食べられないんだよ。」長女が笑う。「ちっちゃいなあ。あんたの喜びは。」笑うな笑うな。海外でのバカンスとおたのしみ給食の喜びの大きさをどうやって比べられよう。彼女の世界はこの半径2キロ圏内の小さな日常に今、無限に広がっているのだから。
2017.07.29 01:42一緒にいれば、わかる。子どもの繋がれた手に優も劣もなく強者も弱者もなくただ得意を分け合い苦手を補い合い障がいと健常と言われるものの垣根もふわり、と飛び越え伝えあっている黙っていても話せなくても互いにわかっていることーあなたが大好きーオトナは…オトナたちは…?追伸愛する次女に。おそらく・・・あなたを残して母さんや父さんが先に逝くことになるのが一番心配。大人になったあなたを姉妹以外の誰かが支えてくれているかしら。私が逝くま...
2017.07.18 06:02通信簿1学期の終わり。―きちんと座って話が聞けています。―時間も守れて立派です。―友達とも仲良くやっていますよ。先生からの言葉に母さんのこころは一方でほっとし一方で揺れる。成長という言葉のうしろに社会の道徳が滲み始めたきみの小さな背中を思う。
2017.07.07 02:29遺伝子の仕業ふとした時にあふれる激しさじっと人の機微を見ている眼感じすぎる繊細なこころ心配性のあわてんぼう場を和ませるためのピエロ…キミの中にふと、幼い日の母さんがいるのを見つけるどんなに似てほしくないと願っても遺伝子というコードに乗ってキミに運ばれてしまったものがある躾や、生育環境や、親が刷り込んだものよりもはるか奥深くに入り組んだ原始の熱量に近いそれらにいつか、キミが悩む時が来たら話してあげようそれは、キ...
2017.06.12 06:11小さな出来事誰も知らない午後でした。急な通り雨にびしょびしょになってしまった干していた布団。あわてて取り込みながら 不意に思い出しました。良かれと思ってしたことが思ったようには喜ばれずにしおれたままになっていました。一生けん命やったのにうまくいかなかった時の痛みも宙ぶらりんになっていました。越えられないものを知った日の夕日の色のように遠のいていく 友だちの声のように