秋空の下で


周囲のどんな些細なことも

わたしの今よりはずっとマシな気がした

 

周囲のあらゆる願い事も

わたしの願い事よりはちゃんと

叶っていくような気がした

 

何をしていても

何もできていないよう

わたしの心からわたしが遠ざかっていく

「それは無理だから」

と呪文のように唱えて

別の何かを探し始める

 

膨らむ家計としぼむ心

いつまでたっても

にらめっこ

 

うずまく胸の内

 

それでも…米をといだ

それでも…玄関を掃いた

それでも…上履きを洗い、

                 台所に立ち、

子どもの背中を見送った

 

わたしには、やることがあった。

子どもたちがいて、やることがあった。

 

人は…

誰かの役に立ちたい

何かのためになりたい

そう願って生きている

それが人類の願いならば、

母という存在は

それだけで

願いを叶えている

 

それが

わたしであるということに気づかず

格別、驚きもせずに

人類の願いを叶えている


草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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