そんな夜があった

誰にでも

自分のすべてがイヤになる瞬間があって

嫌悪の涙で眠れない夜がある


「かかは、かかがキライ。」

かけ布団の端をぎゅっと握りしめて

頭まですっぽりと覆って泣くと

隣で寝ていた子どもが

もっと大きな声で泣き出して

言った


「かかは、かかを好きでいて。

どんなかかも大好きだから。おねがい。」


何という恩寵


いつも子どもに言って聞かせていたことが

こんなふうに還ってくる


そんな夜があった

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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