幼い春の日

キミの

小さな体のどこに

その果てしないやさしさが

宿っているのか


キミの

小さな体のどこに

無限にヒトを想う気持ちが

宿っているのか

母さんに叱られた姉の頭を

母さんに見つからないように

いい子 いい子 となでている


日々の慌ただしさへの怒りに似た感情を

くしゃみに交えて吐き出した母さんを

「おかぜ ひいたの?」

と、心配そうに眺めている


キミの

どこまでもやさしい気持ちに

母さんは

時々

打ちのめされる


打ちのめされながら

思い出す


あの日

わたしもやさしかった


育てるために身を粉にして働く

ちちははの

力になりたくて

ただ ただ 

はやく力になりたくて


あの日

私も小さな体で

どこまでもやさしかった






草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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