3月17日

ずっと・・・

生きる意味を探していた。

どこかに、なにかに・・・

自分の生きる意味を

ずっと。


見つけにくく

はぐくむに難しい生きる意味を

きみは生まれ落ちたその瞬間から

母さんに与えた


泣くことで

腹をすかせることで

わがままを通すことで

心配させることで

悩ませることで

泥水の中をもがくような毎日の中

気づけば きみは

母さんの生きる意味になっていた



背中いっぱいにせおっていたランドセルが

いつの間にか小さくなっていた

「行ってきます」

の声と閉まる扉に向かって

「どうか無事に帰ってきますように」

と 祈る朝をどれほど

どれほど くりかえして

今日の日を迎えただろう


母さんのものにならぬように

気をつけていたけれど

きみが褒められれば

嬉しかった

きみがけなされれば

傷ついた


迷える昼下がり

途方に暮れた夕暮れ

眠れぬ夜

それでも新しい朝は来た


きみを思い 心を砕くこの日々が

母さんの生きる意味となっていた



どうか

こどもたちよ

生きてほしい

この世に生きるすべての人は母から生まれる

みんな生まれながらにして

誰かの生きる意味になっている


力強い

いのちの鼓動をたずさえて

誰かの生きる意味になっている

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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