手間と時間

この春、中学生になった長女。

朝から不機嫌・・・。


昨日買ったばかりのテープ糊が壊れた、様子。

だいたいにおいて、

いろんな機能をひとつにまとめて

便利にしちゃったものは、

すぐ壊れるし修理が利かない、

と思い込んでいる

昭和の香りぷんぷんの母なので、

心の中で

「だから言わんこっちゃない。

糊は手を使って貼れ!」

ぐらいに思っている。


そういうことは

たいがい1日が始まる

慌ただしい朝食のテーブルで起きる。

で、

その日のスタートはどしゃ降り、

おまけに母さんの落雷つきとなる。


機嫌の悪い長女と

怒りだしそうな母さんを見て、

次女と三女はしんとして

目の前のご飯を黙々と食べ始めた。


そこで、

いつものパターンから

ちょっと離れてみることを試みた。


どうしたものか…と

あれこれ見てみる。

機能を確かめながら、

あーでもない、こーでもない

と動かして試しているうちに、

「不良品だよ。

返品して交換してきてよ!」

なんて怒っていた長女のエネルギーも

少しずつ静まってきた。


そのうち、

こうすれば何とか使えなくもない、

という状態にまで来たところで、

長女が一言。


「ありがと。まあいいや。」


こちらが拍子抜けするくらいの

すっきりした声で言った。


うーーむ。


とにかく

元に戻せば機嫌が直るか?

それがだめなら返品か?

と思っていた自分を

ちょっぴり恥じた。


子どもが本当にほしかったのは

安易な解決策ではなかった。

自分の抱えている問題に

どれだけ手間をかけてくれたか、

時間をかけてくれたか、

そっちの方だった。


結局、

壊れたテープ糊は

返品するでもなく、

元に戻ったわけでもなかったけれど、

長女の心は晴れた。


「手間と時間」

子育ての修行は続く…

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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