幸せのヒント
夫と喧嘩した。
しかも、かなり派手に。
台所の布巾が飛び交うほど。
(投げるのは壊れないものと決めている。)
男女の脳の作りの違いを
重々に承知して発言するように、
普段から相当に気を付けている。
なのに、とってしまった。
ため込んで爆発するっていう方法。
男の人の脳は、
昨日のことを今日言ってもダメで、
その時にその場で言わないと
わからないのだ。
さらに、
女の人があの時のあの言葉を、
こんなにも執念深く覚えているとは
つゆ知らず。
そうして、喧嘩の火種よりも
言葉の激しさでお互いを傷つけあうという
なんとも愚かな結末となる。
年を取ったせいか、
激しいことを起こすと体がついてゆかず
胃は痛くなるし吐き気はするし、
悪かったのは機嫌じゃなくて
体調だったのか?と思いながら、
ふて寝。
リビングで夫が
「痛い!母さんにやさしく
できなかった罰だ。」
なんて言いながら、
ぶつけた足をさする様を
夢見心地で聞きながら、
気持ちを汲むことの難しさに
打たれていた。
ふと気づくと、
三女が布団のそばで立っている。
紙を持って。
夫を連れて立っている。
起き上がれない私の横に添い寝して、
ハイどうぞ。
「かかさんです。とおちゃんです。
あくしゅです。」
と言いながら、
夫婦の絵が描かれた紙を
手渡すのだ。
何でこんなことができるのだろう。
中学生の長女も、
もうできなくなってしまっている
動きだ。
育つ過程で失われていくものがある。
それはどうすることもできない。
いっとき、
失う必要があるものなかもしれない。
だけど、
こんな風にまっすぐな思いを
自我を介せずそのままに表現するすべを
きっとどんな芸術家もめざしている
に違いないのだ。
芸術家でなくたって、
心と行動が直結していた
あの時代の感覚を思い出すことが、
大人が幸せになるヒントなのかもしれない。
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