自閉症の果帆へ

今、どんな景色を見ているの?

今、どんな音を聞いているの?

今、何を感じているの?


泣き叫ぶあなたの横で

痛みに気づいてやれない口惜しさは

怒りにすり替わる


違うリズムを刻む

いのちの鼓動を聞きながら

思うよ


母さんのところに来てよかったのかな…


すべてをわかってあげられない苦しみを

悲しみを代わってあげられないもどかしさを

人は愛と呼ぶのでしょうか


愛おしいと切ないは少し似ている


―違う時空に住んでいる―

たとえ

そうだったとしても…

母さんは

知り得ないその世界に潜り込んで

あなたをこの手に抱きしめて

わかり合いたい

と叫ぶだろう


おんなじ気持ちでいることへの断絶を

何度でも乗り越えて

震えるような願いをつなぎ続けるだろう


こんなにも狂おしく

母さんの胸を埋め尽くすのは

いつだって

あなたの記憶なのだから


草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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