月曜日の朝

月曜日の朝

保育園の玄関は

離れがたい親子の

しょっぱい気持ちであふれてる。

バイバイしなければいけないことを

分かっている

少し大きな子どもたちは

ぎゅっと母さんにしがみつき

母さんとの休日の余韻に浸っていたくて

決められない。

母さんにうっすらにじむ憂鬱を

たっぷり手をかけてやれない負い目を

いつもほんの少し漂う一瞬の迷いを

つぶさに感じ取り

するりとその隙間にすべりこんで

抱っこされた手を緩めない。


じっと待つ。

自分で入っていけると信じて

じっと待つ。


信じて肝を据えた時

子どもは観念したように

母さんの首に回した手を緩め

差し出された先生の腕の中へ手を伸ばす。


そうして母の切ない胸の内を離れた時

母親以外の大人たちのやさしさを知る。

外の世界に自分を愛してくれる存在を

知る。

月曜日の朝の

しょっぱい気持ちを幾度も超えて

子どもたちは育つ。

すこやかに、育つ。








草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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