黄色いぼうし

黄色いぼうしがまぶしいのです。

すれ違う大人ごとに

「おはようございます。」

大きなランドセルに

沈丁花の甘酸っぱい香りまで背負って

横断歩道で空まで伸びたまっすぐな右手。


黄色いぼうしがまぶしいのです。

背中が反るほど歓びに胸を張り

まわりの空気までリンリンと揺らして

走ってゆく。

誇らしいりんごのほっぺ。


黄色いぼうしがまぶしいのです。

世の中は知らないことで満ちている。

それが喜び。

世の中は知りたいことであふれてる。

それが希望。

出会うものすべてが夏のサイダーの

しゅわしゅわみたいに澄みきっている。

その先に何が見える?


世界の希望を丸ごと詰め込んだ

黄色いぼうしをかぶって

あたしたち、オトナになった。


あたしの中の黄色いぼうし。

今でもまぶしく輝いていますか。

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

0コメント

  • 1000 / 1000