2017.01.27 03:23子どもはずっと待っている育てる者の朝は、いつも慌ただしい。その日、学校へ出かける長女を玄関で見送り、次女を養護学校のスクールバスに乗せ、三女だけが保育園をずる休み。時々、仕事が休める平日はそんなことがある。もろもろのことが片付いたので、リビングのちゃぶ台の前に座った。それまで、ちゃぶ台の周りでひとり遊んでいた三女が、私が座ったのを見て遊んでいた手を止め、言った。「かか、座ったの?」ちょっと驚いた表情で、もう一度何かを確か...
2017.01.23 06:39自分に唄う応援歌ぼさぼさの髪の毛をささくれだらけの指先を化粧もせず整っていない眉を雑誌の中のおしゃれなママたちは笑うかしら笑いたいヤツには笑わせとけばいいとうそぶく自分でいればいい世間から降ってくるどしゃぶりの痛みだって腕を広げて引き受けながら香水の代わりに土と乳の匂いを漂わせていればいい聖母にはなれないけれどたったひとり君だけの母さんでいたいのなら怒りも汚ならしさもエプロンのぽけっとに押し込んだ孤独さえもこの胸...
2017.01.10 00:29掌-たなごころ-手のひらはウソをつけなくて言葉よりも確かな気持ちが伝わってしまう咳き込む夜中に背中をさするときも柔らかい髪の毛を梳かすときも夕日を見ながら指をつないでいるときも寝かしつけながら布団の中のお胸をトントンするときも悲しみは悲しみのままに苛立ちは苛立ちのままにもどかしさはもどかしさのままにそのときの母さんの気持ちを手のひらからまっすぐに子どもに伝えてしまうからその手のひらの記憶はどうかあたたかなものであ...