その日
心は
戸惑いと嫌悪の混じった
驚きをもって
体を見た。
子どものままの
自由な心を
置き去りにして
体は進む。

刻々と
絶え間なく。

いつも一緒だったはずの
幼い心と体。
心は抵抗しながら
おずおずと
体に従うのだろうか。
明け渡してゆくのだろうか
新しい自分へ。

その夜
慶びの赤い飯と
大人たちの祝福に
たじろぐ

そうして
外側のことに助けられながら
少しずつ心も進む。

幼いだけの心と体は
お互いにそれぞれのストーリーに
決着をつけ
歩き出す。
分離し
歩調は合わず
バランスを崩しながら
あやうさに
打ちのめされ
それでも
引きずるように
一歩
また
一歩
新しい調和に向かって。

草原のコトノハ

母たちの唄 益子由実 YUMI MASUKO

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